トランス脂肪酸が身体に与える影響と安心な選ぶべき製造方法の油とは
トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニング、パーム油やサラダ油など、様々な食品に使用され日々私達の体内に取り込まれています。認知症や動脈硬化、アレルギー疾患など様々な病気の原因となります。
健康を維持するには、トランス脂肪酸が含まれる食品は控えることが必要です。
タップできる【目次】
1.トランス脂肪酸について
不飽和脂肪酸にはシス型とトランス型の2種類があり、シス型は天然の油で、トランス型は人工的に作られた油です。
常温で液体の油を加工する際、水素を添加して固形化または半固形化させる過程で大量にトランス脂肪酸が発生します。
マーガリンやショートニングなどがこのトランス脂肪酸にあたります。
その他には、植物や魚から抽出した油を精製する過程で、高熱処理をする際にトランス脂肪酸が発生します。
シス型は、牛や羊など反芻(ハンスウ)動物の胃の中に存在する微生物の影響によって、天然由来のトランス脂肪酸が微量に発生します。
また、乳製品や牛肉、羊肉にも微量に含まれています。
2.海外の状況
世界保健機関(WHO)は、2018年5月14日に核国の政府に2019年から2023年までに、加工食品を製造するときにできるトランス脂肪酸を減らすよう呼びかけています。
海外では使用が規制されたり表示が義務付けられていますが、日本では特に厳しい規制はされていない状況です。
アメリカ・デンマーク・スイス・オーストリア・ノルウェー・カナダ・タイ・シンガポール・台湾などの国では規制があります。
3.トランス脂肪酸の身体への影響
トランス脂肪酸は、HDLコレステロール(善玉)を減少させ、LDLコレステロール(悪玉)を増加させます。
日頃からトランス脂肪酸を摂取することで、動脈硬化を招き心血管疾患や特に冠動脈性心疾患などのリスクを高めます。
トランス脂肪酸の摂取で招かれる主な疾患
- 動脈硬化
- 心血管疾患
- 冠動脈性心疾患
- アルツハイマー
- 肥満
- アレルギー疾患など
認知症の原因になる物質
油を高温で抽出すると毒性の強い物質ヒドロキシノネナールが発生します。
ヒドロキシノネナールは、細胞膜を構成するリン脂質を酸化させます。
脳の神経細胞や臓器の細胞が死滅して、最終的に記憶を司る脳の海馬を萎縮させて認知症を引き起こします。
4.トランス脂肪酸が含まれている代表的な食品
- マーガリン
- ショートニング
- ファットスプレッド
- サラダ油
- キャノーラ油
- 大豆油
- パーム油
- マヨネーズなど
これらを使用した多くの加工食品にも含まれています。
【主な加工食品】
- ドレッシング
- 植物性の生クリーム
- コーヒーフレッシュ
- ファーストフードの揚げ物
- 植物油脂が含まれた調味料
- カレーやシチューのルーなどの加工食品
- インスタント食品
- 菓子パン
- ケーキ類
- 植物油脂が含まれたチョコレートや菓子類・アイスクリーム・クッキー
- ポップコーン
- レトルト食品
- お惣菜
- 冷凍食品
- 外食全般
※植物油脂→植物に含まれる脂質を、常温でも個体になるよう加工されたもの
※植物油→常温で液体のもの
キャノーラ油・大豆油・パーム油・サラダ油
外食産業や飲食店で加工食品に使用される油で、最も消費が多い油です。
原材料の大豆・トウモロコシ・綿実・菜種の4品目は遺伝子組換えの確率が高い海外から輸入されています。
近年使用量が増加しているパーム油は、インドネシアやマレーシアからの船上輸送の際に酸化を防ぐため、発がん性が懸念される酸化防止剤 BHA(ブチルヒドロキシアニソール)が添加されています。
これらの原料は工業的に化学溶剤を用いて抽出され、酸化防止剤や添加物を使用し、高熱処理を行う過程でトランス脂肪酸が生成されます。
5.トランス脂肪酸が発生しない製造法法
油の抽出方法には、低温圧搾法、高温圧搾法、溶剤抽出法があります。
【低温圧搾法】
低温圧縮法は、原材料に圧力をかけて油をしぼりだす昔ながらの方法です。
短時間で圧力をかけると摩擦熱が発生して高温になるので、ゆっくりと圧力をかけて温度が60度を超えないように管理され抽出されます。
添加物を含まず自然に近い状態なので、原材料の栄養素が損なわれていません。
高温で処理されていないので、トランス脂肪酸も生成しにくい方法です。
手間や時間がかかる上、少量しか油を抽出できないため、他の方法で生産される油より高価になります。
6.トランス脂肪酸が発生する製造方法
【高温圧搾法】
高温圧搾法は、低温圧搾法よりも高い温度で原材料を加熱してから高圧力をかけます。
高温の加熱によって、抽出された油に不純物が多く混入するので精製します。
高温で処理される際、トランス脂肪酸が生成され、原材料の栄養素も取り除かれてしまいます
油を高温処理で抽出する工程で、200度前後になると毒性の強い物質ヒドロキシノネナールが発生します。
ヒドロキシノネナールは、細胞膜を構成するリン脂質を酸化させます。
脳の神経細胞や臓器の細胞が死滅して、最終的に記憶を司る脳の海馬を萎縮させて認知症を引き起こします。
【溶剤抽出法】
溶剤抽出法は、原材料に石油系の化学溶剤ヘキサンを使用して油を抽出して、200度以上の高温で脱臭、精製処理する方法です。
短い時間で多くの油を抽出できて大量生産できるので、価格も安価です。
化学溶剤や添加物を使用し高温で処理されるため、原材料の栄養素は損なわれ、トランス脂肪酸が生成されます。
油を高温処理で抽出する工程で、200度前後になると毒性の強い物質ヒドロキシノネナールが発生します。
ヒドロキシノネナールは、細胞膜を構成するリン脂質を酸化させます。
脳の神経細胞や臓器の細胞が死滅して、最終的に記憶を司る脳の海馬を萎縮させて認知症を引き起こします。
7.まとめ
- 不飽和脂肪酸にはシス型とトランス型の2種類があり、シス型は天然の油で、トランス型は人工的に作られた油です。
- 常温で液体の油を加工する際、水素を添加して固形化または半固形化させる過程で大量にトランス脂肪酸が発生します。
- 海外では使用規制や表示が義務付けられているが日本では規制されていない
- HDLコレステロール(善玉)を減少させ、LDLコレステロール(悪玉)を増加させる
- 動脈硬化、心血管疾患、冠動脈性心疾患、アルツハイマー、肥満、アレルギー疾患を誘発
- 代表的食品はマーガリン、ショートニング、パーム油、サラダ油、植物性生クリーム、これらを使用したスナック菓子やチョコレート、クッキー、ケーキ、パン、コーヒーフレッシュ、加工食品、レトルト食品、冷凍食品、インスタント食品、惣菜、外食産業など
- 油の抽出方法は、低温圧搾法、高温圧搾法、溶剤抽出法がある
- 高温圧搾法、溶剤抽出法はトランス脂肪酸が発生する
- 低温圧搾法の油が安心
- 酸化させないように使用量を考えて購入し、開封後1〜2ヶ月以内に使い切る
以上、トランス脂肪酸についてご紹介いたしました。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。