老化を予防して更年期の不快な症状を軽減するビタミンEについて
ビタミンEには強い抗酸化作用があり、血管や細胞を健康に保って肌の老化を防ぎ、血流を改善する作用があります。
女性ホルモンや性ホルモンの分泌を促して、更年期の不快な症状を軽減したり、生殖機能を正常に保ちます。
タップできる【目次】
1.ビタミンEについて
ビタミンEは、油脂に溶ける脂溶性ビタミンの1つで、4種のトコフェロールと4種のトコトリエノールの合計8種類が存在しています。
自然界や体内に多く存在するのは、α-トコフェロールで、最も強い活性があります。
ホルモンの代謝にも深く関係していて、近年は不妊治療や更年期障害の治療に使用されることもあります。
ビタミンEは、細胞膜を構成するリン脂質の酸化を防ぎ、過酸化脂質の発生を抑えます。
過酸化脂質とは、身体の細胞膜を覆っている脂質の膜である不飽和脂肪酸が、活性酸素によって酸化したものです。
活性酸素を発生させる原因には、大気汚染・放射線・タバコ・添加物・農薬・アルコール・酸化した食べ物などがあげられます。
過酸化脂質は細胞の中のDNAも傷つけて、さまざまな病気を誘発します。
肌や血管にも影響を与えて老化を促進させ、シミやシワを発生させます。
血液中のLDL(悪玉)コレステロールが酸化されて血管内にこびりつき、血管の細胞膜が傷ついて動脈硬化などを引き起こします。
体内の細胞が酸化することで、アルツハイマー病・糖尿病・白内障・ガン・老化など生活習慣病などを誘発します。
そこでビタミンEが、体内の活性酸素と結びつき自ら酸化することで細胞膜や脂質を守り酸化の連鎖を止めて、過酸化脂質の増加を防ぎます。
酸化して力を失ったビタミンEは、ビタミンCなどの抗酸化物質によって再び復活して抗酸化力を発揮します。
したがって、ビタミンCと一緒に摂取することが効果的です。
2.ビタミンEの主な働きと効果
- 老化防止
- 美肌
- 肌に潤いを与える
- 肌にハリを与える
- 血流改善
- 強い抗酸化作用
- 活性酸素の除去
- 過酸化脂質を増やさない
- 生理不順の改善
- 生理痛の軽減
- 更年期障害を軽減
- 生活習慣病の予防
- 動脈硬化の予防
- 心疾患の予防
- 脳疾患の予防
3.ビタミンEが不足すると
ビタミンEは、脂肪組織に蓄えられるので不足しにくいですが、脂肪の吸収を妨げる病気がある場合、ビタミンEの吸収量が減少して欠乏症になるリスクがあります。
ビタミンEが不足すると抗酸化力が低下して活性酸素を消去することができなくなります。
細胞膜を損傷させて動脈硬化など生活習慣病を誘発して、まれに、しびれ・痛み・脱力感などの感覚障害や神経症状がみられることもあります。
細胞の老化が進んで血行も悪くなり、冷え性や頭痛・肩こり・更年期障害の悪化などを引き起こします。
<ビタミンEの不足による主な症状>
- 血行不良
- 冷え
- 肩こり
- 関節痛
- 腰痛
- 頭痛
- 生理痛
- 不妊
- 流産
- 老化
- シミ・シワ
- 更年期障害の悪化
- 溶血性貧血
- 循環器疾患
- 生殖機能の衰え
- 動脈硬化
4.ビタミンEの過剰摂取について
日常の食生活では過剰摂取になる心配はほとんどありませんが、サプリメントや薬などからの過剰摂取には注意が必要です。
過剰摂取のリスクを防ぐため、ビタミンEが含まれている食品を毎日摂取しましょう。
<ビタミンEの過剰摂取による症状>
- 出血しやすくなる
- 腹痛
- 下痢
- 吐き気
- 筋力の低下
- 肝障害
- 骨粗しょう症
5.ビタミンEの摂取量は?
ビタミンE(α-トコフェロール)の1日当たりの摂取目安量(mg)
性別 | 男性 | 女性 | ||
年齢 | 目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 |
18~29(歳) | 6.0mg | 850mg | 5.0mg | 650mg |
30~49(歳) | 6.0mg | 900mg | 5.5mg | 700mg |
50~64(歳) | 7.0mg | 850mg | 6.0mg | 700mg |
65~74(歳) | 7.0mg | 850mg | 6.5mg | 650mg |
75以上 (歳) |
6.5mg | 750mg | 6.5mg | 650mg |
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)をもとに作成
6.ビタミンEが含まれる食材の調理方法
ビタミンEは、油に溶ける脂溶性ビタミンなので、水にさらしてもビタミンは流失せず、熱や酸に強く、油と一緒に摂取することでより吸収率が高まります。
ビタミンEの減少を防ぐには、油炒めの場合は野菜から出た水分も一緒に摂れるように、片栗粉などでとろみをつけましょう。
サラダの場合は、オリーブオイルやアマニ油などをかけたり、マリネにするのがおすすめです。
ビタミンCと一緒に摂ることで、働いて効力を失ったビタミンEが再び抗酸化力を発揮します。
ビタミンCが豊富な野菜と一緒に調理したり、レモンやすだち・ゆずなどを絞っていただきましょう。
ビタミンEは、光に弱く、古い油や何度も高熱にさらされた油は劣化していて、ビタミンEも減少しているので新しい油で調理してください。
7.ビタミンEが多く含まれている食品
【し好飲料類】
し好飲料類(ビタミンE含有率順に上から表示) | ビタミンE含有率(成分量100gあたりmg) |
せん茶/緑茶類 | 64.9mg |
抹茶/緑茶類 | 28.1mg |
玉露/緑茶類 | 16.4mg |
紅茶/発酵茶類 | 9.8mg |
ケール/青汁 | 9.4mg |
【野菜類】
野菜類(ビタミンE含有率順に上から表示) | ビタミンE含有率(成分量100gあたりmg) |
とうがらし/果実/乾 | 29.8mg |
きく/菊のり | 25.0mg |
ドライトマト | 18.4mg |
とうがらし/果実/生 | 8.9mg |
とうがらし/葉・果実/油いため | 8.5mg |
らっかせい/未熟豆/生 | 7.2mg |
西洋かぼちゃ/果実/焼き | 6.9mg |
らっかせい/未熟豆/ゆで | 6.8mg |
モロヘイヤ/茎葉/生 | 6.5mg |
ブロッコリー/花序/焼き | 6.0mg |
ブロッコリー/花序/油いため | 5.8mg |
オレンジピーマン/果実/油いため | 5.2mg |
つくし/胞子茎/生 | 4.9mg |
だいこん/葉/生 | 4.9mg |
西洋かぼちゃ/果実/生 | 4.9mg |
ほうれんそう/葉/通年平均/油いため | 4.8mg |
めたで/芽ばえ/生 | 4.8mg |
西洋かぼちゃ/果実/ゆで | 4.7mg |
わらび/干しわらび/乾 | 4.6mg |
【穀類】
穀類(ビタミンE含有率順に上から表示) | ビタミンE含有率(成分量100gあたりmg) |
小麦はいが/こむぎ | 28.3mg |
米ぬか/こめ | 10.4mg |
プレミックス粉/こむぎ/天ぷら用/揚げ | 7.6mg |
春巻きの皮/こむぎ/揚げ | 4.9mg |
油ふ/こむぎ | 3.9mg |
キヌア/玄穀 | 2.6mg |
【種実類】
種実類(ビタミンE含有率順に上から表示) | ビタミンE含有率(成分量100gあたりmg) |
アーモンド/乾 | 30.3mg |
アーモンド/いり/無縁 | 28.8mg |
アーモンド/フライ/味付け | 22.2mg |
ヘーゼルナッツ/フライ/味付け | 17.8mg |
まつ/いり | 12.3mg |
ひまわり/フライ/味付け | 12.0mg |
らっかせい/大粒種/乾 | 11.4mg |
まつ/生 | 10.8mg |
らっかせい/小粒種/いり | 10.6mg |
らっかせい/大粒種/いり | 10.4mg |
らっかせい/小粒種/乾 | 10.1mg |
かや/いり | 8.5mg |
らっかせい/ピーナッツバター | 4.8mg |
ブラジルナッツ/フライ/味付け | 4.1mg |
ぎんなん/生 | 2.5mg |
らっかせい/バターピーナッツ | 1.9mg |
あさ/乾 | 1.8mg |
ペカン/フライ/味付け | 1.7mg |
ぎんなん/ゆで | 1.6mg |
【油脂類】
油脂類(ビタミンE含有率順に上から表示) | ビタミンE含有率(成分量100gあたりmg) |
ひまわり油 | 38.7mg |
綿実油 | 28.3mg |
ぶどう油 | 27.5mg |
米ぬか油 | 25.5mg |
オリーブ油 | 7.4mg |
落花生油 | 6.0mg |
えごま油 | 2.4mg |
無発酵バター/有塩バター | 1.5mg |
無発酵バター/食塩不使用バター | 1.4mg |
【魚介・藻・卵類】
魚介・藻・卵類(ビタミンE含有率順に上から表示) | ビタミンE含有率(成分量100gあたりmg) |
あゆ/魚介類/養殖/内臓/焼き | 23.5mg |
あんこう/魚介類/きも/生 | 13.8mg |
まつも/藻類/素干し | 13.2mg |
すじこ/しろさけ/魚介類 | 10.6mg |
乾燥卵黄/鶏卵 | 9.9mg |
からすみ/ぼら/魚介類 | 9.7mg |
かき/魚介類/くん製醤油漬缶詰 | 9.5mg |
キャビア/魚介類/塩製品 | 9.3mg |
イクラ/しろさけ/魚介類 | 9.1mg |
まぐろ類/缶詰/魚介類/油漬/フレーク | 8.3mg |
いわし類/缶詰/魚介類/油漬 | 8.2mg |
あゆ/魚介類/養殖/焼き | 8.2mg |
たらこ/すけとうだら/魚介類/焼き | 8.1mg |
うなぎ/魚介類/養殖/生 | 7.4mg |
あゆ/魚介類/養殖/内臓/生 | 7.4mg |
さくらえび/魚介類/素干し | 7.2mg |
たらこ/すけとうだら/魚介類/生 | 7.1mg |
あゆ/うるか/魚介類 | 6.7mg |
全卵/鶏卵/乾燥全卵 | 6.6mg |
【豆類】
豆類(ビタミンE含有率順に上から表示) | ビタミンE含有率(成分量100gあたりmg) |
大豆はいが(全粒・全粒製品)/だいず | 18.5mg |
きな粉/青大豆(全粒・全粒製品)/だいず | 7.5mg |
黄大豆(全粒)/だいず/ブラジル産/乾 | 4.8mg |
フライビーンズ/そらまめ | 3.3mg |
黒大豆(全粒)/だいず/国産/乾 | 3.1mg |
黒大豆(全粒)/だいず/国産/いり | 3.1mg |
ろくじょう豆腐/だいず | 2.5mg |
ひよこまめ(全粒)/乾 | 2.5mg |
ぶどう豆/だいず | 2.4mg |
青大豆(全粒)/だいず/国産/乾 | 2.3mg |
黄大豆(全粒)/だいず/国産/乾 | 2.3mg |
黄大豆(全粒)/だいず/国産/いり | 2.2mg |
豆乳/調整豆乳/だいず | 2.2mg |
黄大豆(全粒)/だいず/中国産/乾 | 2.1mg |
きな粉/黄大豆(全粒・全粒製品)/だいず | 1.9mg |
文部省 食品成分データを参考に作成
8.まとめ
それでは、ビタミンEについてまとめます。
- 強い抗酸化作用で血管や細胞を健康に保つ
- 酸化を防ぎ過酸化脂質の発生を抑える
- 老化を予防する
- 肌に潤い・ハリを与える
- 血流を改善する
- 女性ホルモンや性ホルモンの分泌を促す
- 生理不順を改善
- 更年期の不快な症状を軽減
- 生殖機能を正常に保つ
- 動脈硬化を予防
- 心疾患を予防
- 脳疾患を予防
- ビタミンCと一緒に摂取すると働き効力を失ったビタミンEが再び抗酸化力を発揮する
- ビタミンCが含まれている食材と一緒に摂取する
- 不足すると血行が悪くなり肌の老化が進み冷え性や頭痛・肩こり・更年期障害の悪化する
- 日常の食生活で過剰になる可能性は低いがサプリメントや薬などからの過剰摂取には注意
- 油に溶ける脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂取すると吸収率が高まる
- 水にさらしてもビタミンEが流失しない
- 熱や酸に強く、調理でのビタミンEの損失が少ない
- 光に弱いのでビタミンEが含まれている食品は、光を避けて保存する
- 古い油や何度も高熱にさらされた油は劣化しビタミンEが減少しているので使用しない
以上、ビタミンEについてご紹介いたしました。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。