下痢や便秘・腹痛など腸の症状におすすめの漢方薬について
腹痛や下痢・便秘を繰り返すなど、腸の症状でお悩みはありませんか?
対策として漢方薬を使用する方法があります。
漢方薬は複数の有効成分が含まれていて、さまざまな症状に効果を発揮します。
それぞれの症状にあった漢方薬をご紹介します。
タップできる【目次】
1.漢方薬とは
漢方治療は、自然界にある植物(葉・花・つぼみ・茎・枝・根・菌類)、鉱物などの生薬(しょうやく)を複数組み合わせて作られた薬を投与することで、身体のバランスを整える治療法です。
2.漢方薬を服用する前に
医師の診察を受け、自身の体質や症状にあった漢方薬を選びましょう。
診断には、顔色や体形や舌を診る(舌診)などの望診(ぼうしん)・声や呼吸音などを聞く聞診(ぶんしん)・自覚症状や病歴などを聞く問診(もんしん)・体に触れて状態を見る切診(せっしん)があります。
<注意点>
- 漢方薬も副作用やアレルギー反応を起こすこともあるので、用法用量を守って服用し、胃痛・腹痛・湿疹・むくみなどの症状が現れた場合は一旦服薬を中止し、医師や薬剤師に相談する
- 妊娠中や授乳中は赤ちゃんへの影響が大きいので、必ずかかりつけの医師に相談する
- 甘草(カンゾウ)・麻黄(マオウ)・大黄(ダイオウ)・芒硝(ボウショウ)・附子(ブシ)が含まれている漢方薬は過剰摂取にならないよう注意する
- 持病やアレルギーがある方は事前に医師に相談する
- 漢方薬を飲むタイミングは、一般的に食前(食事の30分~1時間前)・食間(食事と食事の間のことで食後2時間ぐらい)で、胃に食べ物が入っていない時に服用する
- お茶・牛乳・ジュースなどは薬の働きや吸収に影響を与えるので、薬と一緒に飲むことは避けて、水または白湯で飲む
- 1日2回服用の漢方薬は、次の服用までの間隔を6時間以上、1日3回服用の漢方薬は4時間以上あける
- 複数の漢方薬や相反する効果の漢方薬を同時に服用すると、生薬のバランスが崩れ効果を発揮することができない場合があるので、漢方薬を併用する場合は、医師、薬剤師に相談する
※東洋医学・漢方薬についての詳細はこちらから→東洋医学とは・正しい漢方薬の取り扱いや飲み方について
3.桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)
過敏性腸症候群の代表的な薬です。
体を温め、腸の緊張をやわらげる作用があり、胃腸機能を整えます。
<主な症状>
- 下痢
- 便秘
- しぶり腹
- 腹痛
- 腹部膨満感など
<成分>
芍薬(シャクヤク)、桂皮(ケイヒ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)
4.大建中湯(ダイケンチュウトウ)
虚弱体質で、体が冷えていて腸の働きが低下している方。
腹痛や下痢・便秘などの症状に用います。
体を温めて胃腸機能を整えます。
細菌では、開腹手術後やイレウスに頻用されています。
<主な症状>
- 腹部膨満感
- 下痢
- 便秘
- 腹痛
- ストレスによる胃腸機能低下
<成分>
山椒(サンショウ)、人参(ニンジン)、乾姜(カンキョウ)、膠飴(コウイ)
5.小建中湯(ショウケンチュウトウ)
桂枝加芍薬湯に膠飴(水飴)が加わったものです。
疲れやすく虚弱体質な方や、子供の腹痛や疲労感に処方されます。
<主な症状>
- 軽い腹部膨満感
- 胃腸が弱く疲れやすい人
- 血色がすぐれない
- 腹痛
- 冷え
- 虚弱体質な子供
<成分>
芍薬(シャクヤク)、 桂皮(ケイヒ)、 大棗(タイソウ)、 甘草(カンゾウ)、 生姜(ショウキョウ)、膠飴(コウイ)
6.中建中湯(チュウケンチュウトウ)
大建中湯と小建中湯を半分ずつ混ぜたものです。
慢性的に繰り返す腹痛、下痢、便秘に用います。
<主な症状>
- 慢性的な腹痛
- 慢性的な下痢
- 慢性的な便秘
<成分>
芍薬(シャクヤク)、 桂皮(ケイヒ)、 大棗(タイソウ)、 甘草(カンゾウ)、 生姜(ショウキョウ)、膠飴(コウイ)、山椒(サンショウ)、人参(ニンジン)、乾姜(カンキョウ)
7.桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)
桂枝加芍薬湯に便秘改善効果のある大黄(ダイオウ)を加えたものです。
がんこな便秘で排便が困難な時、腹痛が強い場合に用います。
<主な症状>
- 頑固な便秘
- 強い腹痛など
<成分>
芍薬(シャクヤク)、桂皮(ケイヒ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)、大黄(ダイオウ)、生姜(ショウキョウ)
8.半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)
胃腸の炎症を鎮め、胃腸機能をととのえる働きがあります。
みぞおち部分のつかえ、吐き気や胸やけを伴うもの、お腹がグルグル鳴り下痢や軟便を起こす症状
<主な症状>
- 吐き気
- 胸やけ
- 消化不良
- 胃腸炎
- 神経性胃炎
- ストレス性の下痢など
<成分>
半夏(ハンゲ)、黄芩(オウゴン)、乾姜(カンキョウ)、人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)、大棗(タイソウ)、黄連(オウレン)
9.人参湯(ニンジントウ)
体を内部から温めて、痛みを鎮め胃腸機能を整えます。
疲れやすくお腹や手足などが冷えやすい方
<主な症状>
- 虚弱体質
- 腹痛
- 下痢
- 嘔吐
- 胃炎
- 胃痛
- 胃腸虚弱など
<成分>
人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)、蒼朮(ソウジュツ))、乾姜(カンキョウ)
10.真武湯(シンブトウ)
真武湯は体を温めて、過剰な水分を排泄する作用があります。
<主な症状>
- 虚弱体質
- 疲れやすい
- 顔色が悪く手足が冷える
- めまい
- 下痢
- 腹痛
- 胃腸炎
- むくみなど
<成分>
茯苓(ブクリョウ)、 芍薬(シャクヤク)、 蒼朮(ソウジュツ)、生姜(ショウキョウ)、 附子末(ブシマツ)
11.加味逍遙散(カミショウヨウサン)
血液循環をよくして体をあたためる一方、のぼせなど上半身の熱をさまし、ホルモンバランスを整える効果もあります。
痙攣性便秘や過敏性腸症候群や便秘は、精神的ストレスや睡眠不足でも起きます。
<主な症状>
- 便秘傾向
- のぼせ
- 肩こり
- 虚弱体質で疲れやすい
- 冷え症
- 月経不順・月経困難
- 更年期障害
- 頭痛
- 精神不安やいらだち
- 不眠症・自律神経失調など
<成分>
柴胡(サイコ)、芍薬(シャクヤク)、当帰(トウキ)、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)、山梔子(サンシシ)、牡丹皮(ボタンピ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、薄荷(ハッカ)
まとめ
医師の診察を受け、自身の体質や症状にあった漢方薬を選びましょう。
以下に漢方薬についての注意点と、腸の症状に使用される漢方薬についてまとめます。
- 漢方薬も副作用やアレルギー反応を起こすこともあるので、用法・用量を守って服用する
- 胃痛・腹痛・湿疹・むくみなどの症状が出た場合は、一旦服用を中止して医師・薬剤師に相談する
- 妊娠中や授乳中、持病やアレルギーがある方は、必ずかかりつけの医師に相談する
- 漢方薬を併用する場合は、医師、薬剤師に相談する
- 甘草・麻黄・大黄・芒硝・附子が含まれている漢方薬は過剰摂取にならないよう注意する
- 桂枝加芍薬湯(下痢・便秘・しぶり腹・腹痛・腹部膨満感)
- 大建中湯(腹部膨満感・下痢・便秘・腹痛・ストレスによる胃腸機能低下)
- 小建中湯(軽い腹部膨満感・胃腸が弱く疲れやすい人・血色がすぐれない・腹痛・冷え・虚弱体質な子供)
- 中建中湯(慢性的な腹痛・慢性的な下痢・慢性的な便秘)
- 桂枝加芍薬大黄湯(頑固な便秘・強い腹痛)
- 半夏瀉心湯(吐き気・胸やけ・消化不良・胃腸炎・神経性胃炎・ストレス性の下痢)
- 人参湯(虚弱体質・腹痛・下痢・嘔吐・胃炎・胃痛・胃腸虚弱)
- 真武湯(虚弱体質・疲れやすい・顔色が悪く手足が冷える・めまい・下痢・腹痛・胃腸炎・むくみ)
- 加味逍遙散(便秘傾向・のぼせ・肩こり・虚弱体質で疲れやすい・冷え症・月経不順・月経困難・更年期障害・頭痛・精神不安やいらだち・不眠症・自律神経失調)
以上、腸の症状におすすめの漢方薬をご紹介しました。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。