ズキズキと定期的に痛む辛い片頭痛、その原因や症状について

片頭痛の辛い症状で、悩んでいませんか?

締め付けられるような痛みやズキズキする痛み、慢性的に続く痛み、雨の日に痛んだり吐き気を伴うものと症状はさまざまです。

現在、日本人の4人に1人が頭痛で悩みを抱えています。

今回は、片頭痛についてご紹介します。

 

1.頭痛の種類

頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛があります。

 

一次性頭痛(慢性頭痛のこと)

  • 片頭痛
  • 緊張型頭痛
  • 群発頭痛

 

二次性頭痛(病気が原因で起こる頭痛)

  • クモ膜下出血
  • 慢性硬膜下血腫
  • 副鼻腔炎(蓄膿症)
  • 脳腫瘍など

 

いつもと違う頭痛や、ひどい痛みや発熱をともなうものは、すぐに医療機関を受診しましょう。

 

2.片頭痛について


女性に多く見られ、ズキンズキンと脈打つような痛みが特徴です。

約840万人の人々が片頭痛で悩んでいるとのことです。

 

片頭痛を起こす方は、環境や心身のリズムなどの変化に、脳が敏感に反応しやすいと言われています。

片頭痛には心身をコントロールさせるセロトニンが深くかかわり、特に女性では女性ホルモンのエストロゲンの分泌量に連動してセロトニンが増減する傾向があります。

 

激しい痛みで嘔吐したり寝込んでしまうこともあり、日常生活にも支障をきたすほどです。

意外にリラックスできる休日などに片頭痛を起こすことが多くあります。

 

休日に片頭痛が起こりやすいのは、心身がストレスから解放されて副交感神経が優位になり、血管が拡張して神経を刺激するため頭痛を引き起こす場合があります。

 

3.発生頻度と継続期間

人により異なりますが、月に1~4回の方もいれば週に2回更に毎日痛む方もいます。

頭痛の継続期間は、数時間から3日間ほど続くことが多いようです。

 

4.片頭痛の主な症状

  • 前兆現象が現れる場合あり(キラキラした光・ギザギザの光が見える)
  • 頭の片側(時には両側)がズキンズキンと脈打つような痛み
  • 目の奥の痛み
  • 吐き気や嘔吐
  • 匂いや音に敏感になる
  • 光を眩しく感じる
  • 体を動かすと痛みが増す
  • 手足のしびれなど

 

5.片頭痛の主な原因

  • ストレス・過労
  • 女性のホルモンバランス(エストロゲン)
  • 月経
  • 気圧の変化(雨が降る前や台風・低気圧)
  • 匂いの物質(柔軟剤・タバコ・香水など)
  • 人混み
  • 眩しい光
  • 騒音
  • 空腹
  • 寝すぎ・二度寝
  • ポリフェノール
  • アルコールの摂取
  • チラミン
  • グルタミン酸ナトリウム
  • 亜硝酸ナトリウム

 

片頭痛の原因はいまだに解明されていませんが、近年の研究によると三叉神経血管説が有力です。

脳の血管が収縮したり拡張したりすることで、神経が刺激されて起こります。

 

6.三叉神経血管説


何らかの要因で脳の血管が異常に拡張して、脳神経内で一番太い神経の三叉神経が圧迫されます。

 

圧迫されることにより、三叉神経末端からカルシトニン遺伝子関連ペプチド (CGRP)という炎症物質が、脳血管と脳を覆う組織層に過剰に放出されます。

 

その物質の働きによって、更に血管が拡張し炎症を引き起こして、痛みや吐き気・嘔吐などを発生させるのです。

三叉神経は、主に顔面や頭部の感覚をつかさどる神経です。

 

7.脳血管を拡張する要因とは


頭痛を誘発したり症状を悪化させる誘因には、ストレス・寝不足・寝すぎ・二度寝・月経・更年期障害・騒音・匂い・空腹・飲酒・薬・食べ物など様々な要因があります。

 

ストレスを受けると、脳の血管は収縮しますが、ストレスから解放されると脳血管は拡張して、周囲の神経を刺激して頭痛が引き起こされます。

 

光・音・匂いなど外部からの刺激やストレスを感じると、精神を安定させようとセロトニンが大量に放出されます。

その後、徐々に脳内のセロトニンが異常に減少することで血管は拡張され、周囲にある三叉神経に影響をもたらします。

 

7-①.ストレスによるセロトニン減少

セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンと同様、ストレスに関係するホルモンです。

消化管粘膜に90%、血小板中に8%、脳内の中枢神経系に2%存在します。

 

トリプトファンから合成され、セロトニン神経系から放出される神経伝達物質で、心身のリズムをコントロールして精神を安定させる働きがあります。

 

セロトニンは、末梢作用において血管平滑筋収縮・血小板凝集促進・胃腸管刺激作用があり、中枢においての作用は、精神機能や神経内分泌の活動にもかかわっています。

また、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量に連動して増減する傾向があります。

セロトニンについての詳細はこちらから→セロトニンを増やしストレスを軽減して幸せな気持ちで過ごす方法

 

7-②.外部からの刺激

 

<匂いの物質(柔軟剤・芳香剤・タバコ・香水)>

  • 柔軟剤や芳香剤・香水・タバコなどの化学物質に過敏に反応して頭痛を引き起こします。
  • 匂いが原因で、頭痛や嘔吐・めまい・呼吸困難・咳・くしゃみ・かゆみなどを引き起こし体調を崩す方が増えていて、職場や学校に行けなくなるなど問題になっています。
  • 近年では香害と言われています。

 

<眩しい光>

  • 脳が光に過敏に反応して、脳の血管が拡張し周囲の神経を圧迫して炎症を起こします。

 

<人混みや騒音>

  • 脳が音に過敏に反応して、脳の血管が拡張し周囲の神経を圧迫して炎症を起こします。

 

<気圧の変化>

  • 気圧の急激な変化により耳の奥にある内耳が反応することで、自律神経が乱れて交感神経が興奮すると血管が収縮します。
    収縮した反動で血管が拡張し、周囲の神経を圧迫して炎症を起こし、頭痛を誘発します。

 

 

7-③.女性ホルモンの影響


片頭痛の原因には、女性ホルモンが深く関係しています。

 

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)と、プロゲステロン(黄体ホルモン)があり、エストロゲンの分泌に連動してセロトニンは増減する傾向があります。

エストロゲンは排卵期にむけて徐々に増加し、急激に増えて排卵が誘発され、その後分泌量が減っていき月経が始まります。

 

月経時や更年期に片頭痛を起こしやすいのは、この時期に急激にエストロゲンが減少することが要因です。

 

エストロゲンの減少によってセロトニンの分泌量も減少し、それによって血管が拡張して三叉神経を圧迫して炎症物質を放出します。

その炎症物質が血管をさらに拡張させて、頭痛を誘発させるのです。

 

セロトニンが不足すると、片頭痛・自律神経の乱れや気分の落ち込み・無気力・イライラ・依存しやすい・食欲の抑制が効かないといった症状が現れます。

 

更年期では、普段から体内のエストロゲンを増やす食生活や生活習慣を心がけましょう。

 

体内でエストロゲンと似た働きをする成分が大豆イソフラボンで、大豆製品に多く含まれていますので、積極的に取り入れましょう。

 

しかし、大豆製品を沢山とっても、イソフラボンの効果が出やすい人と出にくい人がいます。

それは、体内にエクオールという物質があることが条件です。

 

大豆をとって効果を得られるのは、イソフラボンが腸内細菌によって、エクオールというエストロゲンに似た成分に変換されるかにかかっています。

 

エクオールはエストロゲンとよく似た働きをする成分で、イソフラボンより作用が強い成分です。

エクオールについての詳細はこちらから→エクオールが更年期障害の辛い症状を軽減することはご存じですか?

体内にエクオールがない場合は、サプリメントで補いましょう。

 

7-④.食品に含まれる血管に作用する成分

食品に含まれる以下の成分が、血管を拡張・収縮させることで神経を圧迫して炎症を引き起こします。

 

グルタミン酸ナトリウム
  • 脳血管の拡張物質(脳神経への作用などの意見もある)
  • 化学調味料食品の原材料に調味料アミノ酸等と表記されている)
  • うま味調味料の味の素が有名
  • その他には、インスタント食品・スナック菓子・レトルト食品などに含まれている
亜硝酸ナトリウム
  • 血管を拡張する作用・発ガン性物質生成の可能性
  • 食品添加物で発色剤(発色剤を肉に添加することで、たんぱく質の結合により、肉が持っている赤い色素を固定させる)
  • ハム・ソーセージ・ベーコン・イクラ・タラコなどに添加されている
チラミン
  • 血管を収縮させる作用があり、その後に反動で血管が拡張し頭痛を引き起こす可能性
  • 赤ワイン・チーズ・チョコレート・ビール・そら豆・柑橘類・ニシンの塩漬け・鶏レバーなどに含まれている
アルコール
  • 肝臓がアルコールを分解するときに発生するアセトアルデヒドという有害物質が、脳の血管を広げて神経を圧迫し炎症を引き起こす
ヒスタミン
  • 血管を拡張させる作用
  • マグロ・カツオ・ブリ・ハマチ・サバ・サンマ・イワシなど赤身の魚に多い
  • 豚肉・ソーセージ・サラミ・トマト・ナス・ほうれん草、里芋・タケノコ・大豆製品・味噌・醤油・キムチ・ワイン・チーズなどに含まれている
ポリフェノール
  • 抗酸化作用・血流改善効果で体に良い作用をしますが、管を拡張させる作用
  • 赤ワイン・チョコレート・コーヒー・ココア・緑茶・柑橘類などに含まれている

 

 

7-⑤.頭痛薬の乱用


頭痛薬を飲む回数が増えると、脳は痛みに過敏に反応することで、弱い痛みでも強い痛みとして感じてしまいます。

 

以前よりも頭痛の症状が悪化・慢性化してしまっている状態で、頭痛薬を飲んでも効かないなど、下記の症状がある場合は、薬物乱用頭痛の可能性があります。

 

  • 頭痛が月に15回以上ある
  • 頭痛薬を3ヶ月以上、月に10日以上飲む
  • 頭痛薬を飲んでも効かない
  • 以前は効いていた頭痛薬が効かない
  • 明らかに悪化している

 

薬物乱用頭痛の疑いがある場合は、かかりつけの医師や頭痛専門医にご相談ください。

 

7-⑥.その他の要因

頭痛を引き起こす原因には、その他にも以下の様々な要因があります。

 

<空腹>

空腹血糖値が下がると、脳の働きは低下します。

血糖値とは、血液の中のブドウ糖の濃度で、体や脳のエネルギー源です。

血糖値が下がると、脳は血糖値を上げる働きををするアドレナリンやノルアドレナリンというホルモンを分泌させます。

アドレナリン・ノルアドレナリンは、血管を収縮させて血圧を上げる作用があります。

このホルモンによって、脳内の血管は収縮した後に反動で強く拡張を起こし、周りの神経を圧迫して痛みを引き起こします。

空腹を感じたら、軽く食べましょう。

 

<寝すぎ>

睡眠中は副交感神経が優位で、心拍数や呼吸数は減少し、血圧・体温・代謝・血糖値が低下し、血管は拡張した状態になります。

血管が拡張することで、血液やホルモンが体中の細胞に運ばれやすくなり、全身の細胞の新陳代謝が促進されます。

しかし長時間熟睡して、血糖値低下と血管の拡張した状態が続くと、起床時に反動が大きく、寝起きに一気に血流が増加することで、血管が拡張して神経を圧迫して痛みを引き起こします。

休日も、寝過ぎには注意しましょう。

 

<二度寝 >

血糖値が低下した状態で二度寝すると、起床時に急激に脳血管が拡張して頭痛を引き起こします。

また、昼寝などの短時間の睡眠も脳血管が拡張して頭痛を引き起こします。

お昼寝は、30分以内にとどめましょう。

 

8.片頭痛の改善策について

 

    • 生あくびが頻繁に出たり、異常な肩こりが片側に起こり始めたら、片頭痛が起こる合図です。

 

    • コーヒー・紅茶・緑茶などに含まれているカフェインを摂取すると、脳血管のむくみが取れて血管外に漏れ出していた水分が、一気に血管内に戻って頭痛を改善させます。

 

    • 薬を使用する場合は、頭痛に効果のある漢方薬や、頭痛薬を早めに飲みましょう。

 

    • 頭痛薬を飲む回数が増えると、7-⑤に記載の薬物乱用頭痛が起こる可能性がありますので注意しましょう。

 

    • 頭痛が起こったら、部屋を暗くして静かな場所で横になりましょう。

 

    • 首の後ろを冷やすと血管が収縮し、痛みが和らぎます。

 

    • 痛みのある場所をマッサージすると、血流が増えて痛みが増すので、片頭痛が起きた時は控えてください。

 

    • パソコンやスマホのブルーライトで頭痛が誘発されやすいので、ブルーライトカットフィルムを張ったり、ブルーライトカットメガネで防御。

 

    • 日中の日差しが強い時は、サングラスをかけましょう。

 

    • 蛍光灯の白い光は刺激になって頭痛を誘因しやすいので、お部屋の照明はオレンジ色っぽい暖色系がおすすめです。

 

    • 食生活では、マグネシウム不足は頭痛を起こす要因になります。

 

    • 頭痛予防には、マグネシウム・ビタミンB2が含まれている食材をとりましょう。

 

    • マグネシウム→脳の血管を安定させる作用
      (あおさ・あおさのり・海苔・わかめ・昆布・ひじき・玄米・ココア・ゴマ・かぼちゃの種・アーモンド・大豆・黒豆・納豆・きな粉・木綿豆腐・干しエビ・煮干し・アサリ・牡蠣・切り干し大根など)

 

    • ビタミンB2→脳の神経細胞の異常な興奮を抑える効果
      (海苔・卵・うなぎ・レバー・納豆・干しシイタケ・アーモンド・煎茶・玉露・チーズ・など)

 

    • ミネラルウォーターはマグネシウムが豊富な硬水を選びましょう。

 

    • 血管を拡張させる飲食物のとり過ぎに注意してください。

 

    • グルタミン酸ナトリウム・亜硝酸ナトリウムが含まれている飲食物は、頭痛を誘発する恐れがありますので注意しましょう。

 

    • また、チラミン・ポリフェノール・ヒスタミンが含まれている飲食物も血管が拡張しますので、食べ合わせや過剰摂取にならないように気をつけてください。

 

    • 柔軟剤や芳香剤・香水・タバコなどの化学物質は頭痛を誘発しますので、使用を避け外出中に匂いを感じた場合は、マスクなどで防御したり、匂いの発生源から離れましょう。

 

    • ポニーテールや三つ編みなどの髪型は、頭皮を過剰に引っ張るため、頭痛が起こりやすなるので、注意してください。

 

    • 朝、頭痛で目覚めたら二度寝しないで、漢方薬を飲むか、少し甘いものを食べて血糖値を上げて頭痛薬を飲みましょう。

 

    • 人は寝てから30分以上経つと熟睡を始めるため、お昼寝は30分間以内にしましょう。

 

    • 休日も起床時間や就寝時間を変えずに、生活リズムを維持してください。

 

    • 精神を安定させるには、セロトニンを増やしましょう。

 

    • セロトニンを増やす方法としては、朝目覚めたら朝日を15~30分程度浴びると、体内時計がリセットされ、眠気のもとになるメラトニンの分泌がストップしてセロトニンが分泌されます。
      メラトニンは朝日を浴びた15時間後に分泌量が増加するので、良質な睡眠へと促します。

 

以上、片頭痛についてご紹介いたしました。

最後まで、お読みいただき誠にありがとうございました。

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