リーキーガット症候群という腸の疾患をご存じですか?
リーキーガット症候群という疾患をご存じですか?
小腸の粘膜に炎症が起こり傷ついて、小さな隙間があきます。
本来血管内に取り込まれることのない、未消化の食べ物や毒素・ウイルス・アレルゲンなどが血管に漏れ出てしまう状態の疾患です。
タップできる【目次】
1.リーキーガット症候群とは
リーキーガットの意味は、『leaky=漏れている、gut=消化器官・腸』という意味です。
炎症などで小腸の粘膜が傷つき隙間があいて有害物質が血管内に漏れ出す状態になります。
有害物質が、体中に運ばれて炎症を引き起こし免疫機能が低下することで、あらゆる感染症や自己免疫疾患・アレルギーを発症しやすくなります。
2.リーキーガット症候群の症状
体のあらゆる場所にさまざまな症状が現れます。
症状・疾患 | |
お腹 |
下痢、便秘、腹痛、過敏性腸症候群、膨満感、吐き気、嘔吐、口臭 |
皮膚 | 肌荒れ、ニキビ、じんましん、発赤、腫れ、慢性のかゆみ、アトピー性皮膚炎 |
中枢神経(脳) | 頭痛、発熱、記憶力・集中力低下、不安感、イライラ、情調不安定、不眠症、うつ病、やる気が出ない、自閉症、認知症の進行を促進 |
アレルギー | 花粉症、食物アレルギー、喘息 |
自己免疫疾患 | リウマチ、橋本病、甲状腺機能異常、クローン病、セリアック病、膠原病 |
婦人科系疾患 | PMS(月経前症候群)、月経不順、月経痛、更年期障害、子宮筋腫 |
その他 | 慢性的な疲労感、糖尿病、高脂血症、肥満、関節痛、抜け毛、もろい爪 |
3.リーキーガット症候群の原因と考えられるもの
- 生活習慣の乱れ
- 過食、偏食などの食生活の乱れ
- 慢性的なストレス
- 精製された白砂糖など糖分の過剰摂取
- 小麦粉に入っているグルテンの過剰摂取
- 牛乳に入っているカゼイン
- 加工食品、食品添加物、残留農薬、汚染物質も腸粘膜のバリア機能を乱す
- カフェインやアルコールの過剰摂取
- 鎮痛剤・抗生物質など長期的な服用
- SIBO(小腸内細菌増殖症)
- SIFO(小腸真菌異常増殖症)
- 遅延型アレルギー
- がん化学療法
3-①.遅延型アレルギー
遅延型アレルギーが関連している可能性もあります。
すぐにアナフィラキシーショック反応としての症状が出ないため、非常にわかりにくい反応で数時間や遅い時は2〜3日後に症状が出る場合も。
心当たりがある方はアレルギー検査をおすすめします。
改善するにはまずは生活習慣・食生活の改善が大切で、炎症を起こしやすい食品(アルコール・カフェイン・小麦粉のグルテン)をとりすぎないです。
3-②.SIFO(小腸真菌異常増殖症)
カンジタ菌が腸内で異常増殖するSIFO(小腸真菌異常増殖症)が、リーキーガット症候群の原因につながっている可能性もあります。
カンジダ菌は真菌の一種で、常在菌の一つとして健康な人の腸にも存在していますが、食生活や生活習慣の乱れなどから免疫力が弱まると異常繁殖して病原性を表します。
原因としては、カンジダ菌はアルカリ性の環境を好み胃酸が低下すると増殖しやすく、プロトンポンプ阻害薬(PPI)などの胃酸を抑える薬の長期服用や、抗生物質の乱用などがあげられます。
また、カンジタ菌は甘いものが大好きで、炭水化物や糖分をエサに繁殖していきます。
糖分や炭水化物の摂取を控え、抗菌・有害物質の排出作用がある食材がおすすめです。
- 抗菌作用のある食材=ココナッツオイル・オレガノオイル・マヌカハニー・クローブ・リンゴ酢など
- 排出作用のある食材=海藻類、コリアンダー、ごぼう、長ネギ、にんにくなど
※SIFOについて詳細はこちらから→その症状はお腹のカビが原因かも!SIFOという疾患をご存じですか?
3-②.SIBO(小腸内細菌増殖症)
本来、小腸は腸内細菌が少ない場所ですが、大腸に存在する腸内細菌が小腸で過剰に繁殖している状態で、善玉菌や悪玉菌といったさまざまな菌が小腸内に入って、大量のガスを発生させてしまいます。
小腸は本来ガスに耐えるような構造はしておらず、水素やメタンガスが増えると風船のように腸管が膨らんだり縮んだりを繰り返し、腸粘膜が傷つき細胞の間に隙間があいて穴があきます。
腸内細菌は、発酵性のある糖質をエサに発酵し、水素やメタンガスを発生させます。
改善するには、問題を引き起こす可能性が高いFODMAPを避けた食生活をおすすめします。
- 高FODMAP食=小麦粉・乳製品・糖分・豆類・にんにく・ごぼう・りんご・ドライフルーツなど
- 低FODMAP食=米・玄米・人参・キャベツ・大根・海藻類・キウイ・オレンジなど
低FODMAP食オーストラリアのモナッシュ大学で開発され、安全かつ有効性の高い治療法として広く実施されています。
※SIBOについての詳細はこちらから→お腹が張って大量のガスが出るSIBOという疾患をご存じですか?
4.リーキーガット症候群を改善するには
不規則な生活習慣やストレスは、腸内環境を乱し悪玉菌を増やします。
自分に合ったストレス発散方法を見つけ、早寝早起きして質の良い睡眠を心がけてください。
また運動することも大切ですので、適度な運動をすることを習慣づけましょう。
リーキーガット症候群を改善するには、食生活・生活習慣を見直すことが大事です。
4-①.食生活で注意したいこと
- 同一食材の過剰摂取をしない
- グルテン(小麦粉などに含まれる)を控える
- 精製された砂糖、甘いもののとり過ぎを控える
- アルコールやカフェインの過剰摂取をしない
- 腸内の悪玉菌を増やす、お肉を食べ過ぎないこと
- 食品添加物、加工食品を控える
- 水溶性食物繊維を多くとる
- オリゴ糖を含む食材をとる(SIBOの場合は改善するまで避ける)
- 発酵食品をとって、腸内の善玉菌を増やす(SIBOの場合は影響の高い種類の糖質は改善するまで避ける)
- 青魚、亜麻仁油やえごま油などのオメガ3系油の摂取を心がける
- ボーンブロス(骨のスープ)を飲む(鶏・牛・豚などの骨を煮出して作ったスープ、ゼラチン・ミネラル・ビタミン・アミノ酸が豊富でゼラチンが腸管壁の粘膜の穴を埋める)
- 抗酸化作用のある緑黄色野菜などをとる
- 抗菌作用のある食材をとる(ココナッツオイル・オレガノオイル・マヌカハニー・クローブ・リンゴ酢など)
- 解毒作用のある食材をとる(長ネギ・大根・キャベツ・コリアンダー・海藻類など)
5.まとめ
小腸に穴が開いて有害物質が漏れ出し、体中さまざまな症状が出るとは・・・驚きですね!
それだは、改善する方法を以下にまとめます。
- 小麦粉を控える
- 糖分(人工甘味料を含む)を控える
- 炭水化物の過剰摂取を控える
- 乳製品の過剰摂取を控える
- アルコールやカフェインの過剰摂取を避ける
- 加工食品や食品添加物を避ける
- 抗菌・解毒作用のある食材をとる
- 同じ食材ばかりをとらずさまざまな食材をバランス良く食べる
- 低FODMAP食とる(SIBOの場合)
- 自律神経を整える
- プラス思考になりストレスをためないようする
- 良質な睡眠を心掛ける
- 適度な運動をする
- 遅延型アレルギーの検査
- SIBOやSIFOの疾患があるかの検査
- 抗生物質の乱用・多用を控える
- プロトンポンプ阻害剤(PPI)やH2ブロッカーの長期服用を避ける
以上、リーキーガット症候群についてご紹介しました。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました!!