家族性高コレステロール血症は遺伝性の疾患です

家族性高コレステロール血症は、生まれつきLDLコレステロール値が高く、早期に心臓の血管に動脈硬化を起こす遺伝性の疾患です。

若くして狭心症や心筋梗塞を発症する恐れがあります。

 

 

2 家族性高コレステロール血症の症状

 

多くの方はLDLコレステロール値が高い以外に症状がなく、見逃されやすいです。

肝臓のコレステロール処理に問題が生じて、血中濃度が上昇し血管壁にコレステロールが溜まっていきます。

そして、早期に動脈硬化が進みます。

皮膚にコレステロールが沈着して、隆起した症状(黄色腫)が手の甲、ひざ、ひじ、まぶたなどに現れます。

 

3 家族性高コレステロール血症の原因

正常な場合、血液中のLDLコレステロールは肝臓の表面にあるLDL受容体というタンパクと結合し、肝臓に取り込まれて全身に運搬されます。

しかし、この病気は生まれつき肝臓の表面にあるLDL受容体が少なかったり働きに問題があるため、血液中のLDLコレステロールを肝臓に取り込んで処理することができず、LDLコレステロールの血中濃度が高くなります。

遺伝性の疾患で、家族(両親・兄弟・祖父母・子供・おじ・おば)も同様にコレステロール値が高く、狭心症や心筋梗塞を発症することが多いようです。

 

4 家族性高コレステロール血症のタイプ

家族性高コレステロール血症には、ヘテロ接合体とホモ接合体の2タイプがあります。

 

ヘテロ接合体

  • 両親の片方の遺伝子(LDL受容体やその働きに関わる遺伝子)に異常がある
  • 人口の300人に1人以上の高頻度
  • 重症の場合10歳以後にアキレス腱や皮膚に黄色腫が見られることが多い

 

ホモ接合体

  • 両親の両方の遺伝子(LDL受容体やその働きに関わる遺伝子)に異常がある
  • 100万人に1人程度の頻度
  • 症状が重く指定難病である
  • 10歳までに肘や膝、アキレス腱などの皮膚に黄色腫と呼ばれる黄色のいぼ状の塊が見られることが多い
  • 若くして狭心症や心筋梗塞を発症することがある

 

ホモ接合体のの患者さんは未治療の場合に幼児期から動脈硬化が進行していきます。

若くして狭心症や心筋梗塞などを発症し、時には命にかかわることもありますので、早期の検査が必要です。

 

5 コレステロールについて

コレステロールは脂質の一つで、細胞膜やホルモン(性ホルモン・副腎皮質ホルモンなどのステロイドホルモン)の原料となり生命維持に必須です。

消化に必要な胆汁酸やビタミンDの原料となり、脳脂質の4分の1がコレステロールです。

コレステロールは脂質の一種なので水には溶けない性質ですが、血液中でタンパク質と結合してリン脂質の膜に包まれたリポタンパク質の状態になります。

親水性のリポタンパク質になって血液中に溶け込んで全身に運搬されます。

活性酸素によって酸化したLDLコレステロールが増えると、血管内に蓄積し動脈硬化が進行して様々な病気を引き起こします。

 

5-① コレステロールの材料

コレステロールの材料は、3大栄養素の脂質・糖質・たんぱく質です。

食事から吸収されるコレステロールは20~30%です。

体内で合成されるコレステロールは70~80%で主に肝臓で合成されます。

肝臓で合成される量や小腸から吸収される量、体内で利用される量や体外に排泄される量は、一定にバランス良く保たれています。

 

5-② コレステロールの種類

コレステロールにはHDLコレステロールとLDLコレステロールとがあります。

 

HDLコレステロール

HDL→ High Density Lipoprotein(高比重リポたんぱく質)

  • 善玉コレステロールと呼ばれている
  • 脂質の割合が少ない
  • 余分なコレステロールを回収して肝臓に運び分解する働き

 

LDLコレステロール

LDL→ Low Density Lipoprotein(低比重リポたんぱく質)

  • 脂質の割合が多い
  • 血液中のLDLコレステロールは肝臓の表面にあるLDL受容体というタンパクと結合して肝臓に取り込まれて全身に運搬される
  • 体内にコレステロールを溜める働きがある

 

 

6 家族性高コレステロール血症の予防・治療

予防するには、定期的に検査をして早期発見、治療を行い、LDLコレステロールを低下させる必要があります。

未治療時のLDLコレステロール値が180 mg/dL以上の方は、アキレス腱の太さや厚みを検査することをお勧めします。

治療には、適切な薬物療法に加え、食事療法や運動療法が必要です。

  • 小児期からの早期検査と適切な治療
  • 薬物療法
  • 食事療法
  • 動物性脂肪や飽和脂肪酸、コレステロールの多い食事を控える
  • 食事は控えめに食べ過ぎに注意
  • 食物繊維はコレステロールを体外に排出する働きがあるので野菜やきのこ類、海藻類を摂る
  • 運動療法
  • 有酸素運動で肥満を予防する
  • 禁煙する

 

以上、家族性高コレステロール血症についてご紹介させていただきました。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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