強力な抗酸化作用で活性酸素を無害化するカロテノイドを含む食材とは(キサントフィル類)
キサントフィル類はカロテノイドの一種で、非常に強い抗酸化作用があり、病気や老化の原因となる活性酸素を無毒化してくれます。
私たちの体内でつくり出すことはできないので、カロテノイドが含まれた食材を毎日摂取して身体をサビさせないようにしましょう。
タップできる【目次】
1.カロテノイドとは
カロテノイドは動植物の黄色または赤色の天然色素で、600種類以上あると言われています。
水に溶けにくく油に溶ける性質で、強力な抗酸化力があります。
カロテノイドを体内でつくり出すことはできないので、毎日食事から摂ることが大切です。
野菜など植物性食品に含まれるカロテノイドのβ-カロテンなどは体内で必要な量がビタミンAに変換されてプロビタミンA(ビタミンA前駆体)となります。
その他にプロビタミンAとして働くのは、α-カロテン・β-カロテン・β-クリプトキサンチンなど約50種類です。
プロビタミンAのなかで、βカロテンが体内で最も効率良くビタミンAに変換されます。
カロテノイドは大きく分けてカロテン類とキサントフィル類の2種類があり、カロテン類はアルコールに溶け、キサントフィル類はアルコールに溶けません。
それでは、キサントフィル類についての詳細です。
2.キサントフィル類について
キサントフィル類は、多くの植物に存在していて、葉の色素体で生合性され光合成に関与しています。
炭素・水素・酸素で構成されています。
カロテン類よりも赤血球に分布しやすく、非常に強い抗酸化力があります。
主なキサントフィル類の種類
- ルテイン
- ゼアキサンチン
- アスタキサンチン
- β-クリプトキサンチン
- カプサンチン
- フコキサンチンなど
それでは、キサントフィル類のそれぞれの働きや成分を多く含む食材について、次にご紹介いたします。
3.ルテイン
ルテインは、カロテノイドの一種で、マリーゴールドの花弁や緑黄色野菜に含まれる黄色の色素です。
目の水晶体や網膜の中央にある黄斑部に存在している成分で、強力な抗酸化作用があります。
活性酸素を無害化して、加齢黄斑変性や白内障などを予防、改善する効果があります。
パソコンやスマートフォンの画面から発せられるブルーライト(青色光)によって、活性酸素が発生して目の老化を引き起こします。
ルテインはブルーライトなどの青色の光や紫外線を吸収して、目を保護する働きがあります。
3‐⓵.ルテインの主な働き
- 強力な抗酸化作用
- 活性酸素を無害化
- 白内障の予防や改善
- 加齢黄斑変性の予防
- 有害な光から目を守る
3‐②.ルテインを多く含む食品
ルテインは脂溶性成分で油に溶けやすく、油と一緒に摂取することで体内へ吸収されやすくなります。
緑黄色野菜の調理方法は、油で炒める、スープにする、生の場合はオリーブオイルやアマニ油などをかけましょう。
【緑黄色野菜】
- ケール
- シソ
- モロヘイヤ
- ヨモギ
- パセリ
- ニンジン
- ブロッコリー
- グリンピース
- カボチャ
- パプリカ(黄)
- 小松菜
- ほうれん草など
【果物】
- ブルーベリー
- プルーン
- クランベリー
- 桃
- アンズ
- スモモ
- オレンジ
- 柿など
【卵黄】
卵黄の黄色は、卵黄カロテノイド(キサントフィル類)によるものです。
鶏が摂取した配合飼料の割合によって、卵の黄身の濃淡が異なります。
4.ゼアキサンチン
ゼアキサンチンは、カロテノイドの一種で、緑黄色野菜に含まれている黄色の色素です。
紫外線やブルーライト(青色の光)を吸収する働きがあり、光によるダメージを抑制します。
ルテインとともに目の黄斑部に存在していて、強力な抗酸化作用があり、黄斑変性症や白内障の予防に効果があると言われています。
黄斑変性症とは、加齢や活性酸素などが原因で視力が低下する病気です。
4‐⓵.ゼアキサンチンの主な働き
- 強力な抗酸化作用
- 活性酸素を無害化
- 白内障の予防や改善
- 加齢黄斑変性の予防
- 有害な光から目を守る
4‐②.ゼアキサンチンを多く含む食品
- クコの実
- パプリカ(オレンジ)
- スピルリナ
- サフラン
- ほうれん草
- トウモロコシ
- 柿
- パパイヤ
- マンゴー
- 卵など
5.アスタキサンチン
アスタキサンチンはカロテノイドの一種で、エビやカニの身や殻・紅鮭やイクラ・真鯛の赤い色素です。
アスタキサンチンは強力な抗酸化作用があり、その抗酸化力はコエンザイムQ10の約800倍、ビタミンEのの約550~1000倍、ビタミンCの6000倍といわれています。
抗酸化力によって、肌のシミやシワ、眼精疲労などを予防し改善する働きがます。
光老化は、紫外線によって肌の真皮層にあるコラーゲンやエラスチンがダメージを受け、弾力が失われることでシワの原因になります。
栄養が届きにくいとされる体内の細部、脳などに入り込んで学習や記憶能力を向上させる働きなどがあります。
5‐⓵.アスタキサンチンの主な働き
- 強力な抗酸化作用
- 活性酸素を無害化
- 眼精疲労の予防・改善
- 視力の回復効果
- 学習・記憶能力の向上
- 紫外線による光老化を予防
- 美肌・美白
- 動脈硬化の予防
- 血流改善
- 免疫力を高める
- メタボリックシンドロームの予防
- 疲労回復
5‐②.アスタキサンチンを多く含む食品
- 桜エビ
- オキアミ
- エビやカニの身や殻
- 紅鮭
- イクラ
- 真鯛
- 金目鯛など
6.β-クリプトキサンチン
β-クリプトキサンチンは、みかんなどの柑橘系やトウモロコシに含まれる黄色の色素のカロテノイドです。
体内に蓄積される期間が長く、体の隅々に成分が届けられます。
活性酸素で細胞が傷つくのを防ぎ、発がんを抑制する働きや、血糖値を安定させて糖尿病の予防などの効果があります。
その他にも、風邪・高血圧・動脈硬化・リウマチ・肥満を予防する働きや、骨の状態を維持・改善して骨粗しょう症の予防や改善効果があります。
美容面では、ヒアルロン酸の合成を活発にして美肌効果があります。
β-クリプトキサンチンは、特に温州ミカンに多く含まれています。
温州みかんを食べる日本人は、β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い人が多いそうです。
しかし、飲酒や喫煙などで体内に活性酸素が発生することで、β-クリプトキサンチンが減少するという報告がありますので、お酒は控えめにして禁煙しましょう。
6‐⓵.β-クリプトキサンチンの主な働き
- 強力な抗酸化作用
- 活性酸素を無害化
- 体内での蓄積期間が長く成分が細部まで届けられる
- 骨粗しょう症の予防
- 動脈硬化を予防
- リウマチの発症を抑制
- 糖尿病の予防
- 発がんを抑制する働き
- ストレスの軽減
- 免疫力アップ
- 美肌作用
- 風邪の予防
6‐②.β-クリプトキサンチンを多く含む食品
- 温州みかん
- 柑橘類
- 柿
- ビワ
- パパイヤなど
7.カプサンチン
カプサンチンは、カロテノイドの一種で、赤とうがらしや赤パプリカに含まれている赤色の色素です。
βカロテンよりも強力な抗酸化力で、リコピンと同程度もしくはそれ以上といわれています。
善玉(HDL)コレステロールを増やして、動脈硬化を予防する働きがあり生活習慣病を予防します。
消化吸収後に血液中に取り込まれたカプサンチンは、赤血球に分布しやすい特徴があり、活性酸素から赤血球を守ることで酸素運搬の機能を維持して、運動中の呼吸持久力を高める効果があります。
油と一緒に摂ると吸収率がUPします。
7‐⓵.カプサンチンの主な働き
- 強力な抗酸化作用
- 活性酸素を無害化
- 赤血球に分布しやすく酸素運搬を維持する
- 動脈硬化の予防
- 善玉(HDL)コレステロールを増やす
- 脂肪燃焼効果
- シミやシワを予防して老化防止
- がんの予防
- 生活習慣病の予防など
7‐②.カプサンチンを多く含む食品
- 赤パプリカ
- 赤ピーマン
- とうがらし
8.フコキサンチン
フコキサンチンは、カロテノイドの一種で、昆布やワカメなどの海藻類に含まれ赤褐色の色素です。
抗酸化力が高く、内臓脂肪を減らすと報告されています。
血管新生抑制作用があり、がん細胞の増殖を防ぐ働きがあります。
糖の代謝を促進して血糖値を減少させて改善します。
8‐⓵.フコキサンチンの主な働き
- 強い抗酸化作用
- 活性酸素を無害化
- メタボリックシンドロームの予防
- 内臓脂肪を減少させる効果
- 肥満予防
- 血糖値を減少させ改善させる働き
- 糖尿病の予防
- 血管新生抑制作用
- ガン細胞の増殖を抑制する働きなど
8‐②.フコキサンチンを多く含む食品
- 昆布
- ワカメ
- もずく
- ひじきなど
9.まとめ
それでは、キサントフィル類を豊富に含む食品と主な働についてまとめます。
- カロテノイドは動植物の天然色素で、私たちは体内でつくり出すことはできません。
- 強力な抗酸化作用で活性酸素を無毒化する
- 水に溶けにくく油に溶ける性質
- カロテノイドは大きく分けてカロテン類(アルコールに溶ける)とキサントフィル類(アルコールに溶けない)の2種類がある
- キサントフィル類は非常に強力な抗酸化力があり、赤血球に分布するので体内の細部に届いて働く
- キサントフィル類には、ルテイン・ゼアキサンチン・アスタキサンチ・β-クリプトキサンチン・カプサンチン・フコキサンチンなどがあります
- ルテイン=加齢黄斑変性や白内障などを予防し改善
(ケール・モロヘイヤ・シソ・よもぎ・パセリ・黄パプリカ・ブルーベリー・プルーン・クランベリー・卵黄など) - ゼアキサンチン=加齢黄斑変性や白内障などを予防し改善
(クコの実・オレンジパプリカ・スピルリナ・ほうれん草・トウモロコシ・柿・マンゴー卵など) - アスタキサンチン=記憶力学習能力の向上・シミやシワ、眼精疲労などを予防し改善
(紅鮭・イクラ・真鯛・金目鯛・エビやカニの身や殻・桜エビ・オキアミなど) - β-クリプトキサンチン=風邪・糖尿病・高血圧・動脈硬化・リウマチ・肥満・骨粗しょう症の予防や改善効果・発がんを抑制
(温州みかん・柑橘類・柿・ビワ・パパイヤなど) - カプサンチン=善玉コレステロールを増やす・動脈硬化予防・老化予防・がん予防・生活習慣病の予防
(赤パプリカ・赤ピーマン・とうがらし) - フコキサンチン=内臓脂肪を減らす作用・メタボや肥満予防・血糖値を安定させる・糖尿病の予防・がん細胞の増殖抑制など
(昆布・ワカメ・もずく・ひじきなど)
以上、カロテノイドのキサントフィル類についてご紹介いたしました。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。