目の奥が激しく痛むなど、強い頭痛を引き起こす群発頭痛について
群発頭痛をご存じですか?
1000人に1人程度と少なく、20代30代の男性に多く発生します。
群発頭痛とは、ある一定の時期(1~2ヵ月)、ほぼ毎日、同じ時間帯に発作が起こるタイプの頭痛です。
目の奥がえぐられるような激しい痛みで、転げまわるくらいの頭痛が特徴です。
タップできる【目次】
1.頭痛の種類
頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛があります。
一次性頭痛(慢性頭痛のこと)
- 片頭痛
- 緊張型頭痛
- 群発頭痛
二次性頭痛(病気が原因で起こる頭痛)
- クモ膜下出血
- 慢性硬膜下血腫
- 副鼻腔炎(蓄膿症)
- 脳腫瘍など
いつもと違う頭痛や、ひどい痛みや発熱をともなうものは、すぐに医療機関を受診しましょう。
2.群発頭痛について
重篤な病気が原因ではない頭痛のなかで最も厳しい痛みと言われていて、発作時の痛みが非常に強いため、市販の鎮痛薬では対処できないほどです。
頭痛の症状は、片側の目の奥や周辺がえぐられるように激しく痛み、痛む側の目が充血したり涙が出るのが特徴です。
痛みは突然発生し、睡眠中に痛みで目が覚めることもあります。
頭痛の発生率は1000人に1人程度と少なく、20代から30代の男性に多く見られるタイプの頭痛です。
群発頭痛の原因については、いまだに解明されていません。
医師の間でもあまり認知されていない頭痛なので、複数の病院を受診しても診断してもらえないこともあります。
季節の変わり目・就寝後や明け方など、一定の時期の決まった時刻に痛みを感じることから、何らかの理由で体内時計に狂いが生じて痛みを感じるのではないかといわれています。
3.発生頻度と継続期間
通常、群発頭痛は1年に1~2回の頻度で起こります。
頭痛が毎日続く時期を群発期といいます。
1度頭痛が発生して群発期になると、1~2ヵ月の間、ほぼ毎日頭痛が起こります。
1回の頭痛の発作時間は15分~180分くらいです。
頭痛のない期間を寛解期といいます。
(寛解期→症状が落ち着いて安定した状態のこと)
通常、毎日頭痛が続く群発期と、数ヵ月から数年頭痛がない寛解期が繰り返されます。
しかし、この寛解期が存在しない慢性群発頭痛の方も全体の10%を占めます。
4.群発頭痛の主な症状
- 群発期は、通常1~2ヵ月ほど毎日発作が起こる
- 毎日ほぼ同じ時間帯に発作が起こる
- 半年から2年おきに起こる
- 痛みは夜中から明け方に起きることが多い
- 眠ってから2時間ほどで起こることが多い
- 興奮して落ち着きがなくなる
- 片側の目の奥がえぐられるように強烈に痛む
- 片側の目の周り・こめかみ・頭の横が激しく痛む
- 痛む側の目の充血・涙が出る・瞳孔が小さくなる・瞼が重くなる
- 痛む側の鼻から鼻水、鼻づまりなどの症状
- 発汗する
- じっとしていられないほどの激しい痛みのため、転げまわる事も
- 激しい痛みが1~2時間ほど続く
- 片頭痛のように嘔吐や吐き気はあまり見られません
5.群発頭痛の主な原因
現在、群発頭痛の原因は明らかにされていませんが、体内時計が関係しているのではないかと言われています。
体内時計がある脳の視床下部の機能異常によって、目のすぐ後ろにある内頸動脈(脳に血液を送る血管)が拡張することによって周辺に炎症が起こり、三叉神経を刺激します。
三叉神経が刺激されることで炎症物質が放出され、その物質によって周りの血管が更に炎症を起こして拡張し激痛を起こすと考えられています。
三叉神経が炎症を起こすことによって、つながっている目にも激痛が起こります。
5-①.群発頭痛の原因
- 体内時計の乱れ
- 遺伝子の異常説
- ホルモン説
- 男性ホルモンの過剰分泌が関係
- 何らかのウイルス説
5-②.頭痛の誘発原因
- アルコールの過剰摂取
- タバコ
- 気圧の急激な変化
- 不規則な睡眠時間
- 精神的・身体的ストレス
群発期にアルコールを摂取すると、必ずといっていいほど頭痛を誘発します。
これは、アルコールによって血管の拡張が促進されるのが原因ではないかといわれています。
アルコールに含まれているチラミンという物質が一度血管を収縮させ、その後急激に元に戻るので血管を広げやすいのです。
5-③.血管が拡張する原因
チラミン・ポリフェノール・ヒスタミンが含まれている飲食物は血管を拡張させます。
グルタミン酸ナトリウム・亜硝酸ナトリウムが含まれている飲食物は、頭痛を誘発する恐れがあります。
ストレスを受けると脳の血管は収縮しますが、ストレスから解放されると脳の血管は拡張して、周囲の神経を刺激して頭痛が引き起こされます。
光・音・匂いなど外部からの刺激やストレスを感じると、精神を安定させようとセロトニンが大量に放出されます。
その後、脳内のセロトニンが異常に減少することで血管は拡張され、周囲にある三叉神経に影響をもたらします。
柔軟剤や芳香剤・香水・タバコなどの化学物質は頭痛を誘発します。
6.群発頭痛の診断・検査・治療
<診断・検査>
- 問診で、頭痛の症状や経過の詳細を医師に伝えます。
- 群発頭痛以外の病気がないかを確認するため、CT・MRI・血液検査・心電図・脳波検査などを行います。
<治療>
- 群発頭痛の発作時の治療としては、トリプタン系薬剤のスマトリプタン皮下注射をしたり、医療用の酸素をフェイスマスクを用いて15分くらい吸入することが効果的で現在は自宅での酸素吸入も可能です。
- トリプタン系薬剤のスマトリプタン皮下注射は、指導を受けることで自分での注射も可能です。
- 群発期初期の予防療法としては、カルシウム拮抗薬のベラパミルが最も使用されます。
- その他には、プレドニゾロン・リチウム・バルプロ酸など症状に合わせて適宜処方されます。
- 副腎皮質ステロイド(適用外使用)もよく使用されます。
7.頭痛を予防する食材
普段の食生活で、頭痛を引き起こさないような対策をとりましょう。
1.マグネシウム不足は頭痛を引き起こす要因になりますので、マグネシウムを含む食材を摂取しましょう。
- マグネシウム→脳の血管を安定させる作用
(あおさ・あおさのり・海苔・わかめ・昆布・ひじき・玄米・ココア・ゴマ・かぼちゃの種・アーモンド・大豆・黒豆・納豆・きな粉・木綿豆腐・干しエビ・煮干し・アサリ・牡蠣・切り干し大根など)
2.脳神経の興奮を抑える働きがあるビタミンB2を含む食材を摂取しましょう。
- ビタミンB2→脳の神経細胞の異常な興奮を抑える効果ががあります。
(海苔・卵・うなぎ・レバー・納豆・干しシイタケ・アーモンド・煎茶・玉露・チーズなど)
8.頭痛を悪化させる食材
1.チラミン・ポリフェノール・ヒスタミンが含まれている飲食物は血管を拡張しますので、食べ合わせや過剰摂取にならないように気をつけてください。
- チラミン→赤ワイン・チーズ・チョコレート・柑橘類などに含まれている
- ポリフェノール→赤ワイン・チョコレート・コーヒー・ココア・緑茶・柑橘類などに含まれている
- ヒスタミン→マグロ・カツオなど赤身の魚・豚肉・ソーセージ・ワイン・チーズなどに含まれている
2.グルタミン酸ナトリウム・亜硝酸ナトリウムが含まれている飲食物は頭痛を誘発する恐れがありますので注意しましょう。
- グルタミン酸ナトリウム→化学調味料(食品の原材料に調味料アミノ酸等と表記されている)・味の素・インスタント食品・スナック菓子・レトルト食品などに含まれている
- 亜硝酸ナトリウム→ハム・ソーセージ・ベーコン・イクラ・タラコなどに含まれている
9.群発頭痛の対処について
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- アルコールは頭痛の引き金になるので、頭痛が続く群発期には避けましょう。
(寛解期に入って頭痛がおさまれば摂取しても引き起こされません)
- アルコールは頭痛の引き金になるので、頭痛が続く群発期には避けましょう。
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- 入浴で頭痛が誘発される場合は、シャワーで済ませましょう。
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- 運動して痛みが起こる場合は運動は控えましょう。
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- 頭痛発作時に患部を冷やすことで、多少痛みが軽減することもあります。
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- ストレスや疲労を避け、自律神経を整えましょう。
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- 不規則な時間帯の睡眠を避け、規則正しい生活を心がけましう。
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- 気圧の急激な変化が頭痛の引き金になる場合があるので、この時期は飛行機への搭乗や登山は控えましょう。
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- 発作時には薬剤の使用が必要になります。(市販の鎮痛薬では対処できない)
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- 頭痛が起こりそうな予兆を把握しておいて、症状が表れ出したらすぐに専門の医師を受診して予防薬を処方してもらいましょう。
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- 群発期初期の予防療法としては、カルシウム拮抗薬のベラパミル(降圧剤)が最も使用されます。
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- 群発頭痛の発作時の治療としては、トリプタン系薬剤のスマトリプタン皮下注射をしたり、医療用の酸素をフェイスマスクを用いて15分くらい吸入することが効果的で現在は自宅での酸素吸入も可能です。
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- その他には、プレドニゾロン・リチウム(気分安定薬)・バルプロ酸・副腎皮質ステロイドなど症状に合わせて適宜処方されます。
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- 柔軟剤や芳香剤・香水・タバコなどの化学物質は頭痛を誘発しますので、使用を避け外出中に匂いを感じた場合は、マスクなどで防御したり、匂いの発生源から離れましょう。
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- マグネシウム不足は頭痛を引き起こす要因になりますので、マグネシウムやビタミンB2を含む食材を摂取しましょう。
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- チラミン・ポリフェノール・ヒスタミンが含まれている飲食物は血管が拡張しますので、食べ合わせや過剰摂取にならないように気をつけてください。
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- グルタミン酸ナトリウム・亜硝酸ナトリウムが含まれている飲食物は、頭痛を誘発する恐れがありますので注意しましょう。
※経験のない激しい頭痛が続く場合は、くも膜下出血・動脈解離・脳腫瘍など危険な病気の可能性がありますので、直ちに神経内科や脳神経外科、救急外来などを受診してください。
まずは、専門医を受診して他の病気がないか検査をすることを、おすすめします。
以上、群発頭痛についてご紹介しました。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。