腸内環境を整えて、腸年齢を若返らせる腸に良い食べ物とは?
腸には、約1億個の神経細胞が存在し、体内の免疫力の70%が集まっていることをご存じですか?
腸内環境を整えることで、免疫力を高めて感染症の予防、がんの発症を抑制し、健康な体と心、美肌を手に入れることができます。
それでは、腸内細菌や腸に良い食材について詳しくご紹介しますので、参考にしてくださいね!
タップできる【目次】
1.腸内細菌は年齢とともに変化する
50歳を過ぎたころから腸の働きが弱まり、善玉菌は減少し、悪玉菌が増えてきます。
ウェルシュ菌や黄色ブドウ球菌といった、病原性の強い 悪玉菌が増え始めます。
若い方でも、食生活が乱れると悪玉菌が増え、腸内環境が悪化し、腸が老化するようです。
腸内環境が悪化すると、がんや認知症の原因になる毒素を生み出したり、肌を劣化させたりと、腸を老化させてしまいます。
腸内細菌は、私たちが食べた物の栄養素をエサにして発酵し増殖して、体に悪さをしたり、良い作用をしたりと、様々な影響を与えます。
1-①.腸内フローラとは
腸全体の総面積は、およそ200㎡あり、なんとテニスコート1面分もあります。
腸には200種類以上、100兆個の腸内細菌がいます。
腸を顕微鏡で覗いてみると、腸内細菌が腸壁にびっしりと張り付いていて、その様子が色鮮やかでお花畑のように見えるので、腸内フローラと呼ばれていて、総重量は1.5kgあります。
腸内フローラは、人それぞれ違います。
乳幼児期にできた腸内フローラの原型は、ほぼ一生変わらないといいます。
誕生時に、お母さんの産道にある腸内細菌に接触し、赤ちゃんの腸内に入って増殖します。
その後、大量の細菌と接触し、腸や皮膚や気道などで繁殖させ、3歳頃までに腸内フローラの原型が作られるそうです。
大勢の人と接することで、多種多様な細菌を受け取り、立派な腸内環境を作ることができるといいます。
1-②.腸内細菌はバランスが大切
腸内フローラを構成する腸内細菌には、主に善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類があります。
- 善玉菌は体に良い働きをする菌
- 悪玉菌は体に悪い働きをする菌
- 日和見菌は善玉菌と悪玉菌の量が多いほうに加勢する菌
腸内細菌は、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7のバランスが理想で、これを維持するには、日々の食生活が大切です。
食生活やライフスタイルの乱れ、ストレスなどで、腸内フローラはバランスを崩します。
それぞれの菌の働きについて詳しくご紹介します。
善 玉 菌 | |
ビフィズス菌 | 乳酸菌の1種で、腸内環境を整え、ビフィズス菌の作る強酢酸により、悪玉菌の増殖を防ぐ。 花粉症などのアレルギー疾患への効果も期待される。 |
ラクトバチルス | 乳酸菌の1種で、ガゼイ菌やガゼリ菌など、約180以上あり、シロタ㈱やL-29㈱などの株菌に細分化される。 |
善玉菌の働き | |
体に役立つ物質を作り、腸内の有害物質を無毒化する。
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日 和 見 菌 | |
ブドウ球菌 | 黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、腐性ブドウ球菌など、病原性を持つ菌だが、これ以外は病原体から体を守る |
ユウバクテリウム | 食物繊維をエサにして、酪酸、酢酸、乳酸、蟻(ギ)酸などの代謝物をつくっている。 |
レンサ球菌 | 乳酸菌の1種になるものがあるが、C型肝炎患者の腸内でアンモニアを産生することもああり、腸内環境悪化を招くこともある |
バクテロイデス | 基本的に病原性はないが、免疫力が低下して増えすぎると、様々な感染症を起こすこともある。 |
日和見菌の働き | |
善玉菌と悪玉菌のどちらか優勢な方へなびきます。
通常は無害ですが、免疫力が低下すると悪玉菌に加勢します。 |
悪 玉 菌 | |
黄色ブドウ球菌 | 食中毒だけではなく、ニキビやオデキなどの化膿性疾患の原因にもなる細菌。 |
ウエルシュ菌 | 常在の悪玉菌の代表格で、人体に有害な物質を作る。 |
クロストリジウム | ボツリヌス菌やウェルシュ菌などの善玉菌が多く属するグループ。 食中毒ばかりではなく、発がん物質もつくる。 |
大腸菌 | ほとんどは無害だが、強い病原性を持つ病原性大腸菌も存在。 血液や尿路系に侵入した場合は敗血症などを引き起こす。 |
クレブシエラ | 感染症などを引き起こすグループに属する。 腸管内に棲みつくと免疫が過剰反応し、クローン病や潰瘍性大腸炎などの原因に。 |
悪玉菌の働き | |
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2.腸内環境が悪化すると腸年齢は老ける
20~60代の女性を対象にした、容姿や肌の状態を比べた調査結果によると、腸年齢が若い人ほど、肌の悩みが少なく、見た目も若いという結果が出ているとのことです。
腸内環境を整えるには、生活環境も大切です。
腸年齢が老ける原因としては、野菜不足や、食生活の乱れ、タバコをよく吸うなどがあげられます。
不規則な生活やストレス、過度な飲酒が引き金で腸内に悪玉菌が増えると、便秘や免疫力の低下、フェノール類という有害物質を作り肌のくすみや乾燥など、様々なトラブルを引き起こします。
2-①.肌トラブルにはエストロゲンの減少も関係している
肌に影響を与えるのは、女性ホルモンのエストロゲンの減少も関係しています。
エストロゲンはコラーゲンをつくり、肌に潤いを与え、シワの改善、更年期障害の軽減、骨粗しょう症、がんの予防をします。
エストロゲンが不足した際には、摂取した大豆イソフラボンが、腸内のエクオール産生菌によってエクオールに変換され、エストロゲンの代わりの働きをします。
しかし、日本人の2人に1人が大豆製品を食べてもエクオールがつくれないのです。
この場合は、エクオールを補給できるサプリメントで補給することもおすすめです。
3.発酵食品は腸年齢を若返らせる
腸内環境を改善するために積極的に摂りたいのが、発酵食品、食物繊維を多く含む食品です。
発酵食品を摂ることで腸内の乳酸菌が増え、腸内環境が改善すると、便秘解消や美肌、アレルギー予防、免疫機能の改善につながります。
発酵食品には植物性の発酵食品と動物性の発酵食品があり、日本人には、日本伝統の植物性の発酵食品が、より体質に合います。
3-①.植物性発酵食品
ぬか漬け漬物、みそやキムチなどの植物性発酵食品には、多くの乳酸菌が含まれていて、生きたまま腸まで届きます。
なぜかと言いますと、塩分が高く過酷な環境のぬか床の中でも生き抜く強さが、植物性発酵食品の乳酸菌にはあります。
ぬか漬けを食べるときは、水で洗うとぬかの中の多くの乳酸菌が落ちてしまうので、軽くお箸やキッチンペーパーなどで、ぬぐって食べてください。
納豆菌も生きたまま腸に届き、腸内環境を整えます。
納豆には、ナットウミナーゼという酵素があり血行を良くして、血栓を溶かす作用があり夜食べることで脳梗塞の予防にもなります。
また、ビタミンBや食物繊維も多くおすすめです。
【主な植物性発酵食品】
乳酸菌 | 漬物・ぬか漬け・キムチ |
納豆菌 | 納豆 |
麹菌 | 甘酒・酒かす・味噌・醤油・日本酒・焼酎 |
3-②.動物性発酵食品
動物性乳酸菌の大半は、胃酸や胆汁酸で死滅してしまいます。
しかし、乳酸菌の死滅菌は善玉菌のエサになり、善玉菌を増やして活性化させることにより、腸に良い効果をもたらします。
効果的に腸まで乳酸菌を届けるには、空腹は避け食後30分以内に食べましょう。
摂取した乳酸菌は、もともと腸に住んでいる乳酸菌のように腸にとどまれずに、1~3日ほどで便と一緒に排出されるので、毎日食べて自分の腸に合うものを見つけましょう。
【主な動物性発酵食品】
乳酸菌 | ヨーグルト・チーズ |
4.腸内環境を整えるには、食物繊維を摂りましょう!
善玉菌のエサとなるのが食物繊維で、大きく分けて水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられます。
より善玉菌のエサになるのは、水に溶けて分解されやすい水溶性食物繊維ですが、どちらも腸内環境を整えるので、バランス良く食べることが大切です。
しかし、現在の日本人の7割は食物繊維が不足しています。
意識して、他の食材と一緒にバランスよく摂ることを心がけましょう。
4-①.水溶性食物繊維の働き
【水溶性食物繊維の主な働き】
- 水に溶けると年度が増してゲル状になる
- 便を柔らかくする
- ブドウ糖の吸収を抑制し、血糖値の上昇を緩やかにする
- コレステロールを吸着し体外に排出することで、血中のコレステロール値も低下させる
- ナトリウムを体外へ排出するため、血圧を下げ、高血圧を予防する効果
- 善玉菌が、水溶性食物繊維を分解したときに作られる、短鎖脂肪酸の脂肪燃焼効果にも注目が集まっている
【水溶性食物繊維を多く含む食品】
野菜類 | らっきょう・切り干し大根・にんにく・ごぼう・あしたば・モロヘイヤ・アボカド・人参・オクラ・ブロッコリー・ほうれん草・大根、かぼちゃ |
イモ類 | 山芋・長いも・さといも・里いも・こんにゃく芋(こんにゃくの主成分グルコナンマンは水溶性食物繊維だが、製造過程で不溶性食物繊維になる) |
豆類 | 納豆・蒸し大豆 |
穀類 | 大麦・ライ麦・もち麦・そば |
きのこ類 | きのこ全般 |
海藻 | 昆布 わかめ ひじき めかぶ 海苔 |
果物類 | 熟した果物 |
4-③.不溶性食物繊維の働き
【不溶性食物繊維の主な働き】
- 水に溶けにくい繊維質
- 水分を吸収して数倍に膨れる
- 便の量を増やす
- ぜん動運動を活性化させる
- 有害物質を便と一緒に排出して、大腸の掃除をする
- 胃の中での滞在時間が長く、満腹感を長時間得られるため、肥満を予防する効果
【不溶性食物繊維を多く含む食品】
野菜類 | 切り干し大根・モロヘイヤ・キャベツ・ゴボウ・ほうれん草・かぼちゃ・しそ・ゴボウ・アボカド・葉物野菜 |
イモ類 | さつまいも・こんにゃく |
豆類 | 納豆・枝豆・大豆・インゲン豆・おから |
穀類 | 玄米・そば・大麦・ライ麦 |
きのこ類 | きのこ全般・きくらげ・干しシイタケ |
種実類 | ナッツ全般・ごま・えごま・ココア |
甲殻類 | エビやカニの殻 |
5.善玉菌を増やすにはオリゴ糖を含む食品を摂る
【オリゴ糖の主な働き】
- オリゴ糖のカロリーは砂糖の半分以下
- 熱や酸に強く消化酵素でほとんど分解されず、消化・吸収されないまま大腸に届く
- 糖質として体のエネルギーになりにくく、摂取しても血糖値の上昇にほとんど影響しない
- 腸に届いたオリゴ糖は、ビフィズス菌のエサとなってビフィズス菌を増やす
- 便秘改善にも効果あり
【オリゴ糖を多く含む食品】
野菜類 | 玉ねぎ・ゴボウ・ネギ・にんにく・アスパラ・キャベツ・エシャロット・カリフラワー |
豆類 | 納豆・大豆・きな粉 |
果物 | バナナ |
糖類 | ハチミツ・てん菜糖 |
オリゴ糖は、摂りすぎると便がゆるくなることもあります。
摂取量は、バナナや玉ねぎに多く含まれるフラクトオリゴ糖で3~8g。
ハチミツに多く含まれるイソマルトオリゴ糖で10g。
ティースプーン2杯分のハチミツを目安に、10g以内と考えましょう。
6.抗酸化作用のあるDHA・EPAを摂る
【DHA・FPA の主な働き】
- 腸内の炎症を抑える効果
- 善玉菌が増えやすい腸内環境に整える
- 便の通りも良くする効果
【DHA・FPA を含む食品】
青魚 |
脂がのった旬のものに多く含まれる
|
サケ | 抗酸化作用と腸内の炎症を抑える働き |
アマニ油 | α-リノレン酸が胃酸の働きを活発にして排便を促してくれる |
青魚は、缶詰にも同じ効果があります。
また、皮にもDHA・EPAが含まれているので、皮ごと食べるのがおすすめです。
オイル類は、加熱すると酸化するので、生で摂取しましょう。
7.腸に良い行動
1.食事
腸は、空腹時に働きが活発になり、この時間で腸の掃除をしています。
連続して食事をしていると、掃除ができないので、腐敗した食べ物が腸内に停滞します。
悪玉菌が増える原因になるので、夕食は20時までに、腹7分目で済ませましょう。
2.運動
運動不足は、腸の働きが悪くなります。結果、便の滞在時間が長くなり、有害物質に触れる時間も長くなるので、大腸がんのリスクも高まります。
1日15分だけ、少し息が切れるくらいの運動をしましょう。
3.心の持ち方
楽しい、幸せと感じると、脳から幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌され自律神経が整い、腸の働きがよくなります。
毎日、大笑いをするように心がけましょう。
3つの腸に良い行動を、ご紹介しました。
腸内環境が改善することで、心と体も元気になり、免疫力がアップして感染症や風邪をひきにくくなる効果があります。
まとめ
今回は、腸内環境を整えて、腸年齢を若返らせる食べ物などをご紹介いたしました。
腸内環境を整えるには、善玉菌のエサとなる、発酵食品、食物繊維、オリゴ糖、DHA・EPAを含む食品を積極的に摂ることが大切なので、色々な食材をバランスよくいただきましょう。
腸のお掃除タイムを作るため、空腹の時間を作り、腹7分目を意識してください!
また、食品から摂れない成分については、サプリメントで補うことを、おすすめします。
そして、適度な運動をして、毎日大笑いするように心がけましょう!
健康でイキイキとした生活が送れますように!!
それでは、最後までお読みいただき誠にありがとうございました。